楽器を習わないドイツの音楽の授業
子どもが小学校に入り、まず私が驚愕したのが、
音楽の授業で楽器をまったく習わない、ことだった。
ドイツといえば、ベートーベン、バッハ、ブラームス、シューマンや、
かのバイエルン王ルートビッヒ2世に寵愛されたワーグナーなど、
音楽に興味のない人でも知っているであろう音楽家たちを輩出した国。
さぞ音楽は力を入れて教えるのだろう!とか、
学校でもレベルの高い指導を受けられるのではないか、
と思い描いていた私の期待を、見事に裏切ってくれた。
私の子どもたちが通うドイツの公立学校の場合だと、音楽という科目が
組み込まれたのは3学年目で、主に習うのは歌唱。
1・2学年時は音楽の授業はなく、時々歌う程度。
通常の授業で楽器を習うことはないし、触れることもない。
といっても、習うチャンスがまったくないわけではない。
定期的に募集される追加の特別授業を申し込めば、放課後に楽器を習うことができる。
但し、有料。自腹なのだ・・・。
そして数回のトライアルの後に継続して習いたければ、
年間契約または2年契約を結ばなければならない。
週1回で計月4回のレッスンに対し、どの楽器でも30~50ユーロ前後の月額費がかかる。
例えば月額費が30ユーロだったとして、休みを除いた10ケ月分の300ユーロが年間受講費。
2年間だと600ユーロ、月額費が50ユーロの場合は2年間で1000ユーロだ。
7万円から12万円かかる、楽器習得のためだけの受講費。
高いと思うとか、安いと思うか。
分かれるところだろうが、各楽器の特化した専門の先生から習えるのなら、
相応ではないか、と当時の私は考えた。
半年後これが間違いだったことに気づくのだが・・・。
それはさておき、学費を払わないと楽器を習う機会すらない、というのはいかがなものか。
笛やピアニカぐらい授業に取り入れたっていいだろうに。
家計的に学費のねん出が厳しい家庭の場合、または親が音楽に無関心だったり、
軽視して習う必要はないと考える場合、その子どもたちは楽器に触れる機会さえない。
せめて小学校ぐらいは、平等に機会を与える場であって欲しいと、
日本の小学校で、ギターやアコーディオン、笛、ピアニカ、鼓笛隊を
経験させてもらった私は思うのである。
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