差別と感じることの温度差

今回は少しマジメな話。

ライプツィヒのサッカー観戦に訪れた日本人観光客が、
コロナウィルス関連で危険とみなされ退去させられた件が、
夕食の話題にあがった。北には(北ドイツのこと)差別主義者が多い!
と憤慨したミスターは、そういえば・・・という感じで、
出張で関西に行った際、同僚に案内されたレストランで、
外国人来店拒否の差別に遭ったことを話し始めた。

前職時のミスターは社内で重要なポジションに席を置いており、
同僚の取締役の日本人はレストランの対応に相当焦ったらしい。
それはないだろう、と交渉しても、”外国人だから”という理由で
結局入れてもらえなかったという。

「あれはヒドい差別だった。出されたものは日本人よりも嫌がらず食べるし、
日本文化や食に敬意を払ってる自分に、外国人というだけで来店拒否なんて!」
と、ミスターは皮肉たっぷりな目を私に向けてきたので、
「そうは言うけど、日本に10年間滞在して受けた明確な差別って、
”それだけ”だったんでしょ?私たちがドイツで暮らして受ける差別に比べたら、
申し訳ないけど、そんなの”屁(へ)”みたいなもんよ。」
と切り返すと、ここで(バイエルンで)差別なんてないだろう!と豪語するので、
端折って話してみた。

「差別された数は少ないけど、やっぱり、チン・チャン・チョンはある。
あと、通りすがりに、ニーハオって言われてタバコの煙を吹きかけられたり。」
”チン・チャン・チョン”とは、じゃんけんぽん!のことで、
ドイツでのアジア人一般に対する差別用語だ。
小さい子はそうとは知らず、普通にじゃんけんをする時に使ったりもするが、
私に向かってあからさまに言ってくるのは、明らかに意図的な悪意がある。

「それは挨拶だったんじゃないか?君と話したかったんじゃないか?」

・・・こんなスッとぼけたコメントをするほど、私や日本人ハーフの子どもたちが、
ドイツに暮らす状況を理解してなかったのか。

長女カナと末っ子ファビアンも参戦し、自分たちがプールやスケートに行ったとき、
どんな嫌がらせをされたことがあるかについて、ミスターに話し始めた。
一通り聞いたミスターは顔を曇らせ、
「次にやられたときは教えて、パパがきちんと言うから!」
と言うのだが、そういう人たちはだいたい卑怯だから、
ミスターが一緒にいる時にはやってこない。

女の私や子ども、いつもターゲットになるのは弱い立場の人間。
せっかく楽しんでいたところに水を差される。瞬時に気分が落ち込んで、
それ以降楽しめなくなってしまう。1日が台無しだ。

言ってくるのはほとんどが10代の人間。軽い悪ふざけか遊びのつもりで、
これからも自分たちの気分がハイなときや、むしゃくしゃしてる時に
他人の1日を台無しにしていることは気にも留めず、言い続けるのだろう。

心強いのは子どもたち。最初こそ、なんで?なんで?と聞いてきて、
ショックを受けていたが、今では精神面も強くなりつつある。
ハーフって大変だ。外国に住む私も大変だ。鈍感にならないと大変なのだー!